
大腸に関する病名・疾患
大腸に関する病名・疾患
大腸の感染性疾患は、細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体が大腸に感染して起こる病気です。多くの場合、汚染された飲食物を介して経口感染し、腹痛や下痢などを引き起こします。
代表的な大腸の感染性疾患には、以下のようなものがあります。
これらの感染症の症状は、原因となる病原体によって異なりますが、一般的には、
などがみられます。
診断は、問診、便検査、血液検査などで行われます。原因となる病原体を特定するために、便培養検査や遺伝子検査などが行われることもあります。
治療法は、原因となる病原体や症状によって異なりますが、
大腸の感染性疾患は、重症化すると脱水症状や電解質異常などを引き起こし、命に関わることもあります。特に、乳幼児や高齢者、基礎疾患のある方は注意が必要です。
もし、大腸の感染性疾患が疑われる場合は、早めに医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。
大腸の腫瘍性疾患とは、大腸にできる腫瘍(しゅよう)の総称です。腫瘍とは、組織の一部が異常に増殖してできた塊のことです。
大腸の腫瘍には、良性のものと悪性のものがあります。
大腸の腫瘍性疾患は、初期にはほとんど自覚症状がありません。しかし、腫瘍が大きくなると、
などの症状が現れることがあります。
診断は、問診、便潜血検査、内視鏡検査、生検などで行われます。
治療法は、腫瘍の種類、大きさ、場所、進行度、患者の状態によって異なりますが、
などがあります。
大腸の腫瘍性疾患は、早期に発見できれば、治療によって治癒が期待できるものも多いです。特に、大腸がんは、早期発見・早期治療によって生存率が大きく向上します。定期的な検診を受けることで、早期発見に努めましょう。
もし、大腸の腫瘍性疾患が疑われる場合は、消化器内科の専門医に相談し、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。
大腸の機能性疾患は、大腸に炎症や腫瘍などの目に見える異常がないにもかかわらず、腹痛、下痢、便秘などの症状が現れる病気の総称です。
これは、大腸の運動機能や感覚機能の異常、腸内細菌叢の乱れ、脳腸相関など、様々な要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。
代表的な大腸の機能性疾患には、以下のようなものがあります。
これらの病気の原因は、まだ完全には解明されていませんが、
などが関与していると考えられています。
診断は、問診、身体診察、血液検査、便検査、内視鏡検査などで行われます。これらの検査で器質的な異常がないことを確認することで、機能性疾患と診断されます。
治療法は、症状や原因によって異なりますが、
などがあります。
大腸の機能性疾患は、命に関わる病気ではありませんが、症状が長引くと、生活の質が低下する可能性があります。また、症状が他の病気のサインである可能性もあるため、自己判断せずに、医療機関を受診して相談することが大切です。
大腸の血管性疾患は、大腸への血液供給が不足したり、途絶えたりすることで、大腸に障害が起こる病気の総称です。
主な大腸の血管性疾患には、以下のようなものがあります。
大腸への血流が一時的に悪くなり、大腸の粘膜に炎症や潰瘍ができる病気。
原因:動脈硬化、便秘、低血圧、血管炎など
症状:腹痛、下痢、血便など
大腸への血流が完全に途絶え、大腸が壊死してしまう病気。
原因:血栓症、塞栓症、動脈硬化など
症状:激しい腹痛、発熱、血便、ショック症状など
特定の種類の大腸菌(O157など)の感染によって、大腸に炎症や出血が起こる病気。
原因:腸管出血性大腸菌の感染
症状:激しい腹痛、血便、発熱、嘔吐など
大腸憩室(大腸の壁にできる小さな袋状の突出)から出血する病気。
原因:大腸憩室の破裂
症状:painlessな血便、貧血など
これらの病気の症状は、原因や重症度によって異なりますが、腹痛、下痢、血便などが共通してみられます。
診断は、問診、身体診察、血液検査、便検査、内視鏡検査、血管造影検査などで行われます。
治療法は、原因や重症度によって異なりますが、
大腸の血管性疾患は、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。特に、大腸虚血は、放置すると命に関わる危険性があります。もし、大腸の血管性疾患が疑われる場合は、消化器内科の専門医に相談し、検査や治療を受けるようにしましょう。
大腸の遺伝性疾患は、遺伝子の異常によって引き起こされる大腸の病気です。
これらの病気は、親から子へ遺伝する可能性があり、家系内に同じような病気を患っている人がいる場合、発症リスクが高くなることがあります。
代表的な大腸の遺伝性疾患には、以下のようなものがあります。
大腸に多数のポリープ(腺腫)が発生し、若いうちから大腸がんを発症するリスクが非常に高い病気。
原因遺伝子:APC遺伝子
遺伝形式:常染色体優性遺伝
症状:下痢、血便、腹痛など
治療:ポリープの切除、大腸切除術など
大腸がんをはじめ、子宮内膜がん、胃がん、卵巣がんなど、様々な種類のがんを発症しやすい病気。
原因遺伝子:MLH1、MSH2、MSH6、PMS2など
遺伝形式:常染色体優性遺伝
症状:血便、腹痛、体重減少など
治療:がんの切除手術、化学療法、放射線療法など
大腸に多数のポリープが発生し、大腸がんのリスクが高くなる病気。FAPよりもポリープの数は少ない傾向があります。
原因遺伝子:MUTYH遺伝子
遺伝形式:常染色体劣性遺伝
症状:血便、腹痛など
治療:ポリープの切除、大腸切除術など
消化管にポリープが多発し、口唇や口腔粘膜などに黒褐色の色素斑がみられる病気。
原因遺伝子:STK11遺伝子
遺伝形式:常染色体優性遺伝
症状:腹痛、下痢、血便、腸重積など
治療:ポリープの切除など
小児期に消化管にポリープが多発する病気。
原因遺伝子:BMPR1A、SMAD4など
遺伝形式:常染色体優性遺伝
症状:腹痛、下痢、血便、貧血など
治療:ポリープの切除など
これらの遺伝性疾患は、それぞれ特徴的な症状や遺伝形式、原因遺伝子を持っています。
もし、家系内に大腸がんやポリープを患っている人がいる場合、あるいは上記のような症状がみられる場合は、消化器内科の専門医に相談し、遺伝カウンセリングや遺伝子検査を受けることを検討しましょう。
早期発見・早期治療によって、病気の進行を抑制したり、合併症を予防したりすることができる場合があります。
大腸の先天性疾患は、生まれつき大腸に異常がある病気の総称です。これらの病気は、胎児期の大腸の発生過程における異常が原因で起こります。
主な大腸の先天性疾患には、以下のようなものがあります。
大腸の壁にある神経節細胞が欠損しているため、大腸の蠕動運動がうまくいかず、便が通過できない病気。
症状:生後すぐに胎便が出ない、便秘、腹部の膨満など
治療:手術で神経節細胞のない部分を切除する
肛門が閉鎖している、または肛門がない病気。
症状:肛門から便が出ない
治療:手術で肛門を形成する
肛門や直腸の形や位置に異常がある病気。鎖肛もこの一種です。
症状:便失禁、便秘など
治療:手術で肛門や直腸を修復する
大腸の一部が異常に拡張している病気。ヒルシュスプルング病と関連がある場合が多いです。
症状:便秘、腹部の膨満など
治療:手術で拡張した部分を切除する
胎児期に腸が正常に回転しなかったため、腸がねじれたり、腸閉塞を起こしたりする病気。
症状:嘔吐、腹痛、腹部膨満など
治療:手術で腸のねじれを解除する
これらの病気は、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。特に、ヒルシュスプルング病や鎖肛は、生後すぐに症状が現れるため、早期診断・早期治療が不可欠です。
もし、赤ちゃんに便秘や腹部の膨満などの症状がみられる場合は、早めに小児科医に相談しましょう。
TOP